第4章 はじめての気持ち
「徹……、もう良いんじゃない?」
「雪乃、ごめん……もう少しだけ、こうさせて……」
「うん……」
私の心臓は徹が側に居ることで爆発しそうなくらい早く動いている。
「俺さ、実は飛雄に嫉妬してたんだ……」
「えっ!???」
思い掛け無い徹の一言に、私の声は裏返っていた。
「なんで……飛雄に……?」
「毎日雪乃に弁当届けて貰って、毎日一緒に居られて……しかもバレーも天才的だし……」
「そりゃ、姉弟だから毎日一緒なのは仕方ないよ……」
「それでも、俺は雪乃を独り占めしたい。言ったでしょ?俺は嫉妬深いんだって……」
最後に優しく唇に触れ、徹は起き上がった。
「よし、ご両親にこれ以上迷惑かけちゃ行けないし、そろそろ帰ろっと♪」
徹は自分のバックを持ち上げ扉へと向かう。
「徹……」
私は離れていく徹の背中に小さな声で呼び掛ける。
振り返った徹は、私を鏡に映したように寂しそうな顔をしていた。
「そんな顔しないで?俺だって、雪乃と離れたくない……」
「徹……」