第1章 始まりは突然に
「私、いつの間にか及川君の事……好きになってたみたい」
「うん……」
「私、こう見えて結構腹黒いところがあって、及川君が他の子と話してるの見るとイライラしてきたりするし…………彼女でもないのにね……ゴメン……」
最後は聞こえないくらい小さな声だった。
それでも彼はしっかり聞いてくれた。
「雪乃、泣いてる」
「えっ!??」
私は無意識に涙を流していた。
彼の長い指が私の涙を拭う。
「うわ、これ違うから、涙は女の武器とかいうけどこれは違うやつだから!! あの、えっと……ゴホゴホッ」
「も~~、慌てないでいいから、ゆっくりちゃんと聞くから……ね?」
また背中をポンポンしてくれる。
「雪乃がそこらへんの子と同じならこんな事しないし、今ここに居ないよ」
「……及川君、変な事言うね……私が見たいと思うから、及川君が夢に出てきたんだよ?」
「そうだね、リアルな俺の周りにはいつも女の子がいっぱいいるからこんなにちゃんと話すことは出来なかったね、雪乃の夢に感謝しなきゃ♪」
そう言ってニコッと笑う彼に、私もつい、つられてしまった。
「雪乃はそうやって笑ってる方が可愛いよ♪」
彼がそう言って頬に触れる。
--ドクンッ--
心臓が跳ねる音がした。