第4章 はじめての気持ち
私たちはその後も他愛のない会話を続けた。
楽しい時間はあっという間で、もう我が家に着いてしまった。
「今日は楽しかった……」
「俺も♪ まだまだ足りないけどね♪」
「んっ……ん?」
徹の顔が、また近づいてくるからついキスされると身構えてしまった。
だけど、今回は額への優しい口づけだった。
「期待しちゃった? でも……やっぱ、雪乃の家の前だし……、ちょっと緊張しちゃった♪」
「徹でも、緊張することあるんだね?」
「ひっどーい、俺だって、試合の前とか……今日だって、雪乃に告白したときとか心臓爆発するんじゃないかって思ったんだからね?」
「そ、そうだったんだ……」
徹があの時緊張していたなんて、微塵も感じなかった。
手慣れているな、なんて思ってしまった分、少し申し訳なく思う。
「ありがとね、遠回りしてもらっちゃって……」
「いいって♪ 大好きな彼女を送るのなんて朝飯前だよ♪」
「もう夕飯だけどね♪」
「確かに♪」
私たちはクスクスと笑い合った。