第4章 はじめての気持ち
結局、閉門時間ギリギリまで図書室に居た。
私も岩泉君もテスト範囲の復習を一通り終わらせた。
「どこで待ち合わせしてんの?」
「教室で待っててくれてると思うけど……」
「じゃあ俺はこのまま帰るわ、及川に宜しく」
「うん、じゃあね!」
私たちは図書室の入り口で別れた。
教室棟への渡り廊下を歩きながら自分に起きた夢のようなことを思い出す。
「また変な事考えてるんでしょ~」
「ひっ!!?」
口元の緩みを抑えられないので下を向いて歩いていると、背後から急に声を掛けられる。
「な、なんで……? 教室で待ってるって……」
「早く雪乃に会いたいと思って、待ちきれなかったから来ちゃった♪ そしたら岩ちゃんと楽しそうに話してるし…………男のヤキモチって、見苦しい……?」
「んっ……」
徹は私の頭をそっと抑えてキスをする。
誰かに見られたらどうしよう……一瞬、そんなことも考えたけれど、そんな思考はすぐに消え失せてしまった。