第4章 はじめての気持ち
放課後、私は図書室へ向かった。
徹がどうしても一緒に帰ると言って聞かないので、時間をずらせば生徒の数も減るだろうと思っての事。
本当は堂々と一緒に歩きたいのだけれど、さすがに敵が多すぎる……。
徹は大丈夫と言うけれど、本人が自覚している以上にあなたのファンは多いのですよ。
「はぁ……」
「お前も大変だな」
「!?」
本日何度目かのため息をついた時に、向かいの席に座っていた誰かが急に声を掛けてきた。
驚いて顔を上げるとバレー部の岩泉君がだった。
「あいつと付き合う事になったんだろ?」
「ぇ……?」
「及川だよ……。5限始まってすぐメールきてさ、あいつめっちゃ嬉しそうで……腹立った」
腹が立ったと言いながらも、岩泉君は嬉しそうな顔をしていた。
「大事に思ってるんだね♪」
「はっ!? おまっ!! …………さーせん……」
岩泉君が急に大きな声を出したので、他の生徒たちからの視線が集まった。
「ご、ごめん……」
「いや、いい……間違ってはねーよ……、でも、あいつにはぜってー言うなよ?」
「うん……?」
鬼のような形相でそう言うから萎縮してしまったけど、きっと徹は……否、お互いにわかっているんだろうと思う。