第4章 はじめての気持ち
予鈴が鳴り、屋上に居た数名の生徒達が各教室へ戻り始めた。
「行こっか?」
「うん……」
徹が立ち上がり、手を差し出す。
自然にこういう事ができるって、やっぱり恋愛経験が豊富だからなのかな……なんて考えながらも、私はその手を借りて立ち上がる。
気付くと屋上には私達しか残っていなかった。
徹はゆっくり歩き出す。
もちろん手は繋いだまま。
扉の前で急に徹は立ち止まった。
「どうしたの……?」
「雪乃……」
徹は振り返りその場に跪いた。
王子さまが、お姫さまにそうするように……。
「俺と、付き合ってください……」
「…………はぃ……」
私はまた、鼻をおさえた。
今度は、本当に鼻血が出ている様な気がした。
だけどその手は立ち上がった徹にはがされ、変わりに柔らかな唇がやってきた。
触れ合うだけのキス。
私のファーストキスは見事に奪われてしまった。