第3章 〜sidestory〜
「私の夢に出てきてくれて、ありがとう」
なんだ、そういう事か……。
「俺は雪乃が会いたいときにちゃんと出てきてあげるよ♪安心しなさい♪」
俺は雪乃が安心できるよう、満面の笑みでVサインをした。
彼女の笑顔がまた見れた。
「あーあ、ホント、夢なら覚めなきゃいいのになー」
彼女は俺に背を向け呟いた。
「もしも、夢じゃなかったら……?」
「えっ!??」
本当のことを言ってしまおうか……。
これが現実であることを……、。
「夢じゃなかったら……、それは凄く嬉しいけど。だけど…………ありえないもん……」
彼女は立ち上がりこちらを向く。
「そろそろ、終わりの時間みたい……。私の目が覚めちゃうみたい……」
「えっ……?」
雪乃の目はトロンとし、フラフラし始めた。
無理をさせすぎたのかもしれない。
「雪乃!!!」
後ろに倒れそうになる雪乃を抱きしめる。
「ばい……ばい……」
「雪乃!! これは、夢じゃない! 俺はお前を愛してる!!!」
雪乃は目を閉じ、規則正しい呼吸をしている。
俺の言葉が届いたかどうかはわからないが、彼女が最後に笑ったような気がした。