第3章 〜sidestory〜
「私、こう見えて結構腹黒いところがあって、及川君が他の子と話してるの見るとイライラしてきたりするし…………彼女でもないのにね……ゴメン……」
彼女の声は、とても小さく、そして震えていた。
俺にはもったいないほどの言葉。
「雪乃、泣いてる」
「えっ!??」
彼女は無意識のうちに涙を流していたようだ。
俺は、ごく自然に彼女の涙を拭った。
「うわ、これ違うから、涙は女の武器とかいうけどこれは違うやつだから!! あの、えっと……ゴホゴホッ」
彼女はまた慌ててむせかえる。
俺はまた、彼女の背中をポンポンしてあげる。
「雪乃がそこらへんの子と同じならこんな事しないし、今ここに居ないよ」
「……及川君、変な事言うね……私が見たいと思うから、及川君が夢に出てきたんだよ?
俺の気持ちは、なかなか通じないみたいだ。
「そうだね、リアルな俺の周りにはいつも女の子がいっぱいいるからこんなにちゃんと話すことは出来なかったね、雪乃の夢に感謝しなきゃ♪」
彼女が笑ってくれた。
「雪乃はそうやって笑ってる方が可愛いよ♪」
彼女の頬に触れてみる。
このまま、キスでもしてみようか……そう思ったのに――