第3章 〜sidestory〜
どれだけの時間が経ったのだろうか。
目を開けると目の前には彼女が居た。
俺の髪をいじるのに夢中で、俺が起きたことにはまだ気づいていない。
さっきの俺みたいだな……なんて考えていたら、彼女と目が合ってしまった。
「ご、ごめん……。夢の中だからって触りすぎだよね?? ごめん……」
あれ?
夢……?
きっと、熱でぼーっとしてるのか……。
「別に、雪乃のしたいようにしていいよ。これは雪乃の夢なんだからさ」
俺は彼女が夢と勘違いしてるのをいいことに、初めて名前で呼んでみる。
「な、名前……いつもは影山さんて//////」
真っ赤になって慌てる彼女があまりに可愛いのでもう少しからかってみる。
「え~~? だって、夢は見る人の深層心理が出てくる訳でしょ? ってことは、その人がしてもらいたいことが叶っちゃうわけ♪」
「わ、私は名前で呼ばれるなんて!!?ゴホゴホッ、ゲホッ!!」
「あ~~、そんなに慌てなくてもいいよ」
俺は彼女の背中をポンポンとする。
彼女の身体はとても熱かった。
「それに、俺自身が雪乃って呼びたいって思ったからだよ」
「え?」
「好きな人の前では、本当の自分でいたいからね」
俺は彼女に本心を告げた。