第3章 〜sidestory〜
3年になり、彼女の弟がバレー部に入ってきた。
彼女に似たつり目の、見るからに俺と真逆のタイプ。
それでも、バレーに対する姿は真剣だった。
飛雄が入ったことで、毎朝彼女が練習を見に来るようになった。
彼女はいつも出入り口を占拠している女の子達から少し離れたところで練習を見ている。
実際は彼女たちが居るから見えてないだろうけど……。
休憩中、外で涼むふりをしてボトルを飲みながら彼女を見るのが俺の日課だった。
彼女はいつも壁に背中を預け小さな保冷バックを持って、待っていた。
俺ではなく、飛雄の事を……。
俺は飛雄に嫉妬していたのかもしれない。