第2章 近くて遠い距離
所詮、私と彼の住む世界は違うのだ。
いくら夢を見たからって、夢の中で両想いだったからって、所詮は自分の意識の中でしかない。
私たちが両想いになる事などあるはずのないことなのだ。
夢を見たから浮かれていた。
いつもより話す機会が多かったから浮かれていた。
彼から声を掛けてくれたから浮かれていた。
全ては私の勘違い……。
彼はただ私をからかって楽しんでいただけなのだ。
私は自分の愚かさを悔いた。
一筋の涙が頬を伝う。
私の意識を無視して涙はどんどんと流れていった。
彼の周りには嫌でも女の子がたくさん寄ってくる。
かわいい子だって選び放題だろう。
そんな彼が私なんかを選ぶわけがない。
考えれば考えるほど、涙が溢れてくる。
掴まれた腕から彼の体温を感じる。
それもまた、私の思考を混乱させる原因だ。