第2章 近くて遠い距離
笑い続ける彼に、とうとう恥ずかしさを覚えた私は先に職員室へ向かう事にした。
「あ、ちょっと!!」
彼は涙ぐみながらも私を追ってきていたが、私が足を止めることはなかった。
「ごめんて! ねー! 影山さん!! ちょっと待ってよ!!!」
背後から声を掛けてくる彼に、段々と怒りと悔しさを覚えた。
足を速めても、身長差ですぐに追いつかれてしまう。
私は彼から逃げるように走り始めた。
それでも結局はすぐに追いつかれ、腕を掴まれた。
「放してよ……課題なら私が持ってくから」
彼は何も言わない。