第2章 近くて遠い距離
「どうしたの? 及川君?」
私は振り返りながら彼に問いかける。
彼は手のひらに何枚かプリントを持っていた。
「俺も、まだ課題出してなかったからさ! 一緒に行こうと思って♪」
「い、言ってくれれば持って行ったのに//////」
今日はよく彼と喋る日だななどと考えてしまう。
今までこんなに話したことはなかったように思うのは、私の気のせいだろうか……。
「いーの、いーの♪ さ、いこ♪」
「う、うん……」
彼はまた、私の前を歩いて行く。
私はその後をそっとついて行く。
すれ違う女子生徒の視線が気になり、気付けば私は廊下しか見ていなくて彼が止まったことに気付かなかった。
――ドンッ!!――
「うぎゃっ!?」
私は彼の背中に頭突きをくらわした。
「ご、ごめん!」