第2章 近くて遠い距離
「及川君! ほんとゴメンね!!」
私は改めて謝罪を述べた。
「別にいいよ、俺、今日機嫌がいいからね~♪」
鼻歌を歌いスキップまでしてる彼の隣を遠慮がちについていく。
ただでさえ目立つ存在の彼が鼻歌を歌いスキップしているのだ。
必要以上に視線が集まってくる。
「お、及川君……。みんな凄く見てるよ……。ちょっと落ち着いた方が…………」
彼には私の声が聞こえていないのではないかと思う程周りを気にせずスキップを続けた。
下駄箱に着き、やっと動きの止まった彼が靴を履き替えながら声を掛けてきた。
「影山さん、具合大丈夫?」
「え、あ……うん。お陰様でこの通り元気になりました♪」
私は力こぶを作るようなポーズを彼に見せた。
「倒れてるの見つけた時は本当に驚いたんだよ?」
「なんか……助けてもらったみたいで……」
「俺はなんもしてないよ! 頑張って風邪を治したのは影山さんでしょ?」
「……ま、まぁそうだけど……」
彼はにこっと笑って教室へ向かい、私はその後をついていく形となった。