第7章 季節の変わり目
「俺、影山の事……気になってる……」
そんな風に聞こえて、隣に座る岩泉君の顔を見た。
岩泉君はまっすぐ私を見据えていた。
「ごめん、書くのに集中してて……今、なんて言った……?」
企画書を書く手を止め、岩泉君の言葉に真剣に耳を傾ける。
「この気持ちが何なのかよくわかんねーけど……影山の事、考える時間が増えた。だから、昨日も、否定……しなかった……」
岩泉君は窓の方を向いていたから表情はよく見えなったけど、夕日のせいか耳まで赤くなっているように見えてしまった。
「別に、お前らの関係を壊すつもりもねーし、アイツがニヤニヤしてんのはすっげー腹立つけど。でも、…………やっぱなんでもねー! 今の忘れろ!!!」
岩泉君は「頭冷やしてくる!!」と言って視聴覚室を出ていった。
私は一人その場に取り残され、手元にある書きかけの企画書に視線を落とした。
静かすぎる室内で、私の心臓の音だけが大きく響き渡っているようだった。