第3章 〈其の手を〉
異能?異能とは何?
聞き慣れない言葉に首を傾げる。
しかも其の…異能とやらを、私が持っていると?
「異能って、何なん…ですか」
「……テメェ、喋れたのか。
てっきり喋れれねェのかと思ってた」
失敬な。
記憶が飛んだだけで喋る事は出来るし、今迄に憶えた知識は幸いな事に飛んでいない。
…“太宰”さんがなんか喋りたそうにしてるのは気の所為か。
「異能はね、常識では起こりえない現象を起こす特殊な力のこと。
単純に『能力』とも称される事もあるけれど。
異能を宿す人間は『能力者』と呼ばれるんだ。
君は其の、『能力者』なんだよ。
まあまだ断定はしていないけど多分ね」
うん、気の所為じゃなかった。
「そうなんですか。分かりました。
____きっと貴方達も、能力者なんですよね?」