第1章 出会い
所変わって正十字学園内にあるエクソシストの用品店“フツマヤ”裏庭。
突如地上1メートル程の高さに黒い穴が開いた。
どさり
砂袋が落ちるような音がして、庭の手入れをしていた杜山しえみは振り返った。
季節の草花が生い茂る庭。その中央に見覚えの無いものが横たわっている。
暖かな午後の日差しが“それ”を浮き上がらせた。
“それ”が何か察した途端、しえみの表情が強張った。
「お、おかあさんっおかあさーんっ!人が倒れてるーっ!!」
不自由な足を引きずりながら倒れている彩華に近寄って行った。
彩華が目を覚ますとそこは見たこともない場所だった。
天井からは幾種類もの乾燥させた草花が吊してあり、壁は一面造り付けの棚になっている。
棚には瓶だの木の根だの石だのと雑然と物が並んでいる。
(おばあちゃん家の匂いがする──)
土と草の匂い。自然と共に暮らす匂い。
彩華がぼんやりする頭で見回すとどうやら和室に寝かされているようだ。