第1章 出会い
しばらくぼんやりと天井を眺めていた彩華だが、ふと気づく。
「学校ッ!!──…っ!」
ガバッと飛び起きて突如襲い掛かる強烈な眩暈。
目の前が真っ暗になって白や赤がチカチカしている。
「おや、気づいたかい?」
足元の硝子戸からふくよかな中年の女性が顔をのぞかせている。
和服姿の昭和を思わせる雰囲気に彩華は懐かしい祖母の家を思う。
自分の低血圧を自覚しているので半分だけ身を起こして彼女を見る。
「あの…ここは…?」
控え目に聞くと彼女は笑いながらフツマヤだと教えてくれた。
しばらくは世間話をしていたが、フツマヤの女将は急に鋭い視線を投げてきた。
「さて、ちょっとここからはまじめな話だよ。アンタはどうしてあんな場所に倒れて居たんだい?」
「?」
「どこかのエクソシストなのかい?答えによっては手荒なことをさせてもらわなきゃならないからね。」
そう言って優雅に煙管から煙をくゆらせる。
ビリッと背中に電撃の様な物が走る。
「ほら、何とかお言い。」
女将の視線に剣呑な光が宿る。