イケメン王宮、真夜中のシンデレラ/ALLキャラ短編集
第13章 二人で過ごすクリスマス~アラン編~
―――――……
―アランside―
(ふぅ…今のところ異常はないし、一度、ユヅキの様子でも見に行くか)
そう思い、ユヅキがお菓子を配ると言っていた店が並ぶ通りを歩いていると、前からレオが歩いて来た
いつも通り、特に話をするわけでもなく通り過ぎようとすると、ふいにレオに声をかけられた
レオ「…ねぇ、アラン。ユヅキちゃん、さっきすごく困ってたよ」
そう言って真っ直ぐな視線を向けるレオを見て、アランは僅かに眉を寄せた
「……何かあったのかよ」
レオ「…知りたい?」
そう言って、からかうような笑みを浮かべるレオに苛立ちを覚えながらも、ぐっと堪えてアランは尋ねた
「あぁ…で、なんだよ」
レオ「何でも、ユヅキちゃんは、いつも隣にいてくれるトナカイがいなくて困ってるみたいだよ」
「トナカイが…?でもそんなの今からじゃ連れて来れねえよ」
レオ「相変わらず女心をわかってないなぁ、アランは。ユヅキちゃんが本当に隣にいて欲しいのは一人だけでしょ」
「…じゃあ俺にトナカイ役をやれって言うのかよ」
そう言って眉を寄せるアランを見て、レオはふっと意地悪な笑みを浮かべた
レオ「別にアランが嫌なら俺がやるからいいよ、トナカイ役。…ユヅキちゃんの隣に並べるのなら俺は大歓迎だからね」
それだけ言って去って行こうとするレオを睨みながら、アランは僅かに頬を染めた後、ボソッと呟いた
「…お前は来んなよ」
レオ「……どこに?」
「何でもねえよ…」
(ったく、なんで俺が…)
そう思いながらもユヅキの喜ぶ顔を思い浮かべ、足早にアランはその場を後にした
レオ「本当、素直じゃないなー…」
ニヤリと笑みを浮かべたレオは、足早に去っていく弟の姿に優しい眼差しを向けながら、アランが行った方向の反対側へと歩いて行った