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連れ立って歩く 其の三 鮫と虚貝編 ー干柿鬼鮫ー

第9章 闇夜


空の注射器をかざして海士仁は肩をすくめる。

「よく見てから誤解しろ」

「よく見てたら誤解しないな・・・」

「間抜け」

「いや、せっかちなんだろう」

「間抜け」

「・・・とも言えるか?」

「止めろよ!!!!何だよ、悪かったな!今の流れならあるだろ、誤解も!詰まんない連中だな、クソッ」

「面白いが煩い」

「わーかったから!言っとくけどソレ褒めてないからね!?」

「?勿論」

「・・・・だよね。言いたいから言ってるだけなんだろうね、アンタは。面白いって褒めてた訳じゃないんだよね?むしろくさしてた?くさしてたな?ぁあー、もうヤだヤだヤだ!これじゃ果燐の顔見てる方がずっとマシ!草もういい!草もう終り!帰ろうぜ、重吾!いや、何なら君は残れ!残って下さい!地道にボクのガラスハートにヒビ入れ続けやがって、こりゃいよいよカブトとハグだな、チクショウ!」

「カブトの恋人?」

「人外はもう黙ってろよ!」

「水月、それは天唾になりかねない・・・」

「おい重吾!いい加減にしろよ!少しはボクの肩を持てって!サスケが泣くぞ!」

「サスケが?泣く?泣くか?チームワークがなってないと泣くのか?そういうヤツだったか、アイツは」

「泣かぬ」

「ああ、そうだな!泣かないな!な訳ないよな!じゃボクが泣くぞ!」

「フ」

「フじゃないよ!もう黙れってば!てかボクが黙る!アンタらとは話さない!」

「静かでいい」

海士仁がサクッと水月の腕に針を刺した。

「だわッ!?バカッ、一声かけろよ、何考えてんだ!?あり得ないでしょ!?一瞬水になりかけたよ、マジ素で!!!!」

「煩い」

採った血を透かして見ながら素っ気なく言い捨てる海士仁に、水月はむくれ顔で溜め息を吐いた。

「で?さっきの話の続きは何なんだよ?草がヤバイ薬を扱ってるのが何だっての?」

「覚えていたか」

「覚えてるよ」

「磯辺に伝えろ」

「磯辺ってカキガラ?」

「手を出すな」

「はあ」

「目を閉じておけ」

「何もすんなって事?てか、何もしないでしょ、あのヒトは。ふらふらしてるだけで何かしそうにはないもんね」

「伝えろ」

「自分で言えば?」

「詳細は省きたい」

「・・・色々聞かれんのが面倒だって話?」

「是」

「聞かれるとまずい事でもあるのか?」

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