• テキストサイズ

連れ立って歩く 其の三 鮫と虚貝編 ー干柿鬼鮫ー

第8章 華やかな垣根の向こう


気の抜けた顔をした水月に、男は肩をすくめるように頷いた。水月は何か言いかけて男の人の悪い顔を見、口を閉じ、肩を落とした。

「・・・・どォおでもいィい~。何かスッゲェやる気失せた。あ~、どォでもいいー・・・帰りたァ~」

「サスケは居ない。俺たちだけだ」

水月に答える気配がないのを見てとった重吾が、興味深そうに男を見やりながら言った。

傷痕に見会う傷で裂けて戻らない箇所を抱えている。しかし何でだ?爽快だ。 吹っ切れてる。

「残念」

その興味の程を知ってか知らずか、先刻までとは色味の違う面白そうな目で重吾を見返して、男はフイと眉間を長い指で差した。

「ここのシワが」

にんまり笑って目を細める。

「深い奴は嫌いではない」

荒浜海士仁は首の傷に大きな手をかけて更に笑った。

「・・・・生きていた。良し」












/ 202ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp