第8章 華やかな垣根の向こう
「感じが悪くて勘に障るのはあなたも大差ありません。大体黙りなさいと言った傍から話しっぱなしってどういう神経してるんですか。人の話を聞かないのにも程がある。全く勘に障りますよ」
「オメエが勝手に黙れっつったんだろ。オイラ、ハイ黙りますなんて一言もいっちゃいねえぞ、うん」
「屁理屈を言うのは止しなさい。はあ、あなたといると考え事も出来ませんねえ。正直疲れますよ」
「勝手に来といてホンット偉そうだな、オメエはよ、うん?」
「その通りです。私は勝手にここに来ました。ですからそのまま勝手にさせて頂きますよ。失礼」
「うん?どっか行くのか、鬼鮫」
「待っていても埒があかない。大人しくしていて挙げ句追い払われでもしたら業腹ですしね。ちょっとそこらへんを見てきますよ」
気軽に言う鬼鮫にデイダラは目を丸くした。
「何だ、そんなんありかよ?」
「さあ。知りませんよ、そんな事。ただ私はそうすると言っているんです。私は任務や責務があってここに来たわけではありませんからね。好きにしていい訳です」
「あ、待てよオイ。オイラも行くって!行くぞ、うん!」
「いや、あなたはここにいて下さい。ついて来られても邪魔です」
「・・・いやちょっと待て。オメエそら流石に恩知らずが過ぎねえかよ?うん?」
「恩なんかありましたかねえ?」
首を捻る鬼鮫にデイダラは目を三角にした。
「テメエ一人じゃこう簡単に草にゃ入れなかったろうよ?他の連中に黙って同道してやったってのにひどかねえか?」
「・・・・冗談ですよ。行くんなら騒がないで下さいよ。殊更こそこそする気はありませんが、かと言って無意味に衆目を集める気もありませんからね」