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連れ立って歩く 其の三 鮫と虚貝編 ー干柿鬼鮫ー

第7章 飛段、孤軍奮闘


「いないと思うのよな」

「だらよ!思うじゃなくてよ!いんの!?いないの!?」

「んー、それに答えたら飛段殿、わちに何をしてくれるかえ?」

「何してくれるって、アンタが邪魔だっつうヤツをぶっ潰してやったじゃん。代わりに・・・・」

「草に入れる約束をしたぞな、もし」

「そうだ。草に入れる約束をして貰ったな!そうだったな!チクショウ」

「ひとつ貰うたらひとつ返すのが分かり易くてよいわいな。長く付き合うてゆくには秤が片寄らぬのがよろし」

「そのひとつのデカさが違ったら秤じゃ量れねえだろ?アンタの頼みと見返りァちっとばかりつり合わなくねえか?」

伊草の頼みで角都と水の国の要人を片付けて草に来た飛段は、渋い顔をした。

「おう、飛段殿は思いの外賢うておられよる。とは言え、まだまだ青うあるよな、ニフ・・・いや、笑わぬよ、笑ってなぞありゃせんぞな、もし、そのイカツイ拳を収めなされ。おお、オソロし。わちは痛いの辛いの苦しいのが大嫌いなのだわ。ニフフ・・・あ。・・・・ふごッ」

「こちとらアンタと長く付き合う気なんざとんとねんだよ、バカタレ。秤なんざ知った事かっつの」

「草は選ばれた者しか招かれぬ里ぞな、もし。有象無象の下賤の者なぞ生涯足も踏み入れられぬ高貴の里。飛段殿もデイダラ殿も身の福運を知るべきよな、もし」

「知らねえよ。で?牡蠣殻はいんの?いねえの?本当のとこどうなのよ?あ?」

「牡蠣殻なる者がどういった者か知らぬがの、その名からして草の民ではなかろうえ?」

「草のモンが草に居るかなんてわざわざ聞きに来る訳ねえだろ。アンタ本当に宰相か?どの角度からどう見ても手がつけられねえバカにしか見えねえぞ。この俺が見てもだぜ?ホンモンだ、アンタ」

「いやちょっと全部言わせてくれんえ?だからな、他所の者なら簡単にここには入られぬのよ?ならばまずその牡蠣殻某は草に居るまいなと、わちはそう言いたかったのよな、もし」

「あそ。じゃもういいや」

飛段は何の気なしに立ち上がって、さっさと伊草に背を向けた。

「えッ!どどど、どこに行かれちゃうぞな、もし!」

「どこって帰んじゃん。もう用ねェし」

「ええー!?せ、折角来たのにィ!?もしィ!?」

「もしもしうっせェなあ。NTTの回しモンかオメエは。料金なら払わねェぞ。俺ァスマホユーザーだかんな」
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