• テキストサイズ

連れ立って歩く 其の三 鮫と虚貝編 ー干柿鬼鮫ー

第7章 飛段、孤軍奮闘


「だからな。ごめんって。俺も悪気があった訳じゃねんだよ。まあ何だ、ちっとばかり正直が過ぎたってェか、嘘が言えねえってェかよ。あんま気にすんな、俺の言った事なんかよ。な?」

「ううぅ・・・・」

「・・・・あのよ。あんま言わねえ方がいいんだろうなとは思うけどよ、俺な、小汚ねえジジィが泣き濡れちゃってても別に平気なんだよな。や、平気ってかむしろ苛つくってかムカつくってか、殺しちゃおうかなとか思うんだけどよ、オメエじゃジャシン様も喜ばねえだろうしなァ・・・だからさぁ、ちょっとあっち行ってくんない?ホント悪ィな」

「しょ・・・正直が過ぎるぞな、もし?」

豪奢な縫取も目に綾な文金高島田の袖でシワだらけの目尻を拭い、恨みがましげに言うのは翠伊草。女装と化粧が何とも異様なナヨナヨしい巨漢の爺は、これで草という里の現君主、翠為蛍の弟で里の外商を束ねる宰相である。

「飛段殿とデイダラ殿の為にわざわざ美しく装うたのに・・・・」

涙で化粧の剥げかかった顔に阿媚する表情を浮かべて上目使いする伊草に、飛段は悪い汗をかく。

「要らねえよ、そんな気遣い・・・マジキツいわ、止めて。普通が一番。普通にしてて」

「わちは大概こんなモノよ?この女礼服こそわざわざ取り寄せたものの、豪奢な衣裳を纏うのはわちの楽しみだものよ、もし」

「・・・他に何かねえの?楽しみ?」

「若うて可愛らしい男子を見て色々考えるのが楽しみよな。あんな事やこんな事・・・」

「おいおいおい、アンタ三国志か西遊記の挿し絵みてェな立派な親爺顔して何考えてんだ。気持ち悪ィ」

「飛段殿は誠正直な男よの。ニフフ・・・」

「・・・ニフフって笑い声か?いい加減ぶっ殺すぞ?どんだけ気色悪ィ造りになってんだ、アンタは」

「ん?ニフフフフ・・・アガッ」

「止めろって言ってんだろ。止めろ。言ったら殴りたくもねんだからな。あー、チクショウ、デイダラの野郎、マジで置いてきやがって、戻ったら只じゃおかねえ」

「のう。残念でならんのよ。デイダラ殿も可愛らしい男子・・・二人並べて良い夢を見たかったわなァ・・・あんな事やこんな事・・・・・ニフフフフ・・・うごッ」

「殴らせんなって言ってんだろ、わかんねェヤツだな、ゴラ。んで?牡蠣殻って女は本当にここにゃいねえのか?」







/ 202ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp