第6章 満月
「いや・・・・大丈夫なのか?・・・・・・何てえか・・・そんな牡蠣殻さんが大事だったのかよ、波平さん」
盆の窪に手を当てて聞きづらそうに言ったシカマルに、藻裾は腕を組んだ。
「物心ついたときからずっとなんだよな。けどまぁ、アタシもここまでたァ思わなかったよ・・・」
角都の報告を受けてから、波平は少しく様子がおかしい。何としてでも角都からの報告書を盗み読みしなければ・・・。
藻裾は難しい顔をしているシカマルとカンクロウを見、朗らかに笑った。
「あのな、波平様は満月の晩に鮫に油揚持ってかれたって思ってんだ。去年の散開の前日な。だからサ、今日みてえに月が明るい晩にゃ、思い出してちっとばかり詩人になっちまうんだ、きび悪ィよな、うん。あれ?うんっつった?今アタシ?何か懐かしいな。うん」
「・・・・鮫は油揚食わねえぞ?」
散々難しい顔をした挙げ句、シカマルが渋々口を開く。
カンクロウと藻裾が顔を見合わせた。
渋い顔をしているシカマルを揃って見、再び顔を見合わせて肘をガツンと打ち付け合う。
「聞いたかオイじゃん?アイツわかってねえじゃん?」
「な、アッタマいいのにわかってねえぞ、プ、イヤッハー言っとく?イヤッハー言っとく?」
「イヤッハーじゃーん!」
「・・・・ん。ま、そんなトコか。ジャンジャンだもんな、オメエは」
「・・・・何ソレ?言っとくけどな、コレ相性の問題だと思うぜ?オメエと俺はマジ合わねェの。俺だってオメエ相手じゃなきゃびっくりするくらい輝くんじゃん」
「見た事ねえな、そんなアナタは。じゃ、ま、一丁輝いて見せろよ。ゴキブリ並みに黒光りしてみろ?」
「待てコラ。何で俺の輝きがゴキブリの黒光りなのよ?」
「じゃダンゴ虫の照りか?フンコロガシのいぶし銀か?」
「俺は虫じゃねえ!」
「当たり前だ。我愛羅さんのお愚兄さまが虫なワケねえだろ。バカ言うな。誰もジャンジャンが虫だなんて言ってねえよ。虫みたいに輝きそうだっつってんの」
「俺が輝いたらテメエ、プライベートタイムの小倉智昭並みに素晴らしくテカテカだぞ?なめんじゃねえ」
「・・・・いや、オメエがそれでいいならアタシは何も言うこたねェよ。てか、プライベートタイムの小倉がどんくれェの眩しさかわかってんの、ジャンジャンは」
「知る訳ねえじゃん。知りたくもねえ」