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連れ立って歩く 其の三 鮫と虚貝編 ー干柿鬼鮫ー

第5章 草という里


「牡蠣殻は草にゃ居ねえって鬼鮫に言えんのかよ、テメエは?」

サソリの突っ込みにデイダラが詰まり、角都が目を上げた。

「それと同じ様なモンだ。鬼鮫の向こうを貼って必死だぜ、あの頭領はよ」

「いずれ草には思いがけず飛段が残った。内部に食い込めば浮輪を納得させるだけのものがつかめるかも知れん」

また算盤を弾き出しながら角都が淡々と言う。

藻裾を介在して角都に牡蠣殻の探索を依頼したのは、磯の浮輪だ。敢えて鬼鮫のいる暁に牡蠣殻の事を依頼したのには、浮輪のなりふり構わぬ思いがある。

一方の鬼鮫はこの件に関し、終始無関心な態度を崩さない。依頼に現れた浮輪と鉢合わせした際も、両者互いに目礼すら交わさなかった。

「どっちみち牡蠣殻が見つかんなきゃ金は出ねえんだろ?草に居ようが居まいがよ。ならやっぱテメエはオイラ金を払うべきだぞ、角都」

「何故だ」

「草に牡蠣殻がいるとは限らねえのをわかっててオイラと飛段を行かせたんだろ?そりゃテメエの判断じゃねえか。牡蠣殻が居なかったからってそりゃこっちの落ち度にゃなんねえよな、うん?」

「成る程。頭を使ったな」

角都が面白くもなさそうに頷いた。

「しかし駄目だ」

「何でだよ、ケチ野郎!」

いきり立つデイダラを笑いながらサソリが口を挟んだ。

「なら聞くがよ、デイダラ。逆にテメエは草に牡蠣殻ァ絶対いねえって言えんのか?」

「え?」

「え、じゃねえよ。これでもし牡蠣殻ァ草に居たらどうする?どうすんだ?」

再び詰まったデイダラを角都が諭す。

「金が欲しければ飛段のところへ戻れ。牡蠣殻が居ない事を確認して来い」

「うえ。あのカマ爺ンとこに戻れってか?うん?」

「あれで井草は草で顔が利く。磯ほど極端ではないが草も閉じた里。アレと巧くやらねば入り込む事は出来ないぞ。何せ他に伝手が皆無だからな」

「ジジィって呼ぶと目の周り真っ黒にして泣くんだぞ?怖ェよ、アイツ」

「自分の性が嫌いで化粧が好きなんだ。放っておけ」

「ゴテゴテの着物着てアタシ綺麗とか言うんだぞ?まんま都市伝説じゃねえかよ!」

「女装が趣味でナルシストなんだ。放っておけ」

「飛段とオイラに食べちゃいたいくらいカワイイとか言って真っ赤になんだぞ?オイラあいつに食われるくらいなら爆死する!」

「男好きなんだ。放っておけ」

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