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連れ立って歩く 其の三 鮫と虚貝編 ー干柿鬼鮫ー

第5章 草という里


「それで?置いて来た訳だな、飛段を」

帳面を捲りながら流暢に算盤を弾いていた角都の手が止まる。

「ハ。流石バカのツートップだな。期待を裏切らねえってえか、期待を裏切る事しかしねえってえか、兎に角バカ丸出しだ」

他人事顔で薄笑いしたサソリが傀儡を弄るのを止めて腕組みした。

「結局見つかりゃしなかったんだろ?まんま骨折り損だな。下らねえ」

「じゃ今度ァ旦那が行って来いよ?思ったまんまペロッと言っちまうバカスキルは旦那も飛段に負きゃしねえだろ?旦那もカマ爺に尻子玉抜かれりゃいんだよ、うん。島田のバケモンに食われちまえ」

「見つからなかったんだな?」

念を押すように、ゆっくり言った角都に、デイダラは顔をしかめた。

「見つけてりゃ連れて来てらぁ。見りゃわかンだろ。しつけぇぞ、うん」

「成る程。そう機嫌が悪いところを見ると、お前自身が期待していた相手も見つからなかったようだな」

「ふ」

角都が嬲るような調子で更にゆっくりと言い、傀儡の手を持ち上げてその手首をカタカタと揺らしていたサソリは失笑と言うにはあまりにも明確な悪気の籠った笑いを洩らした。

デイダラはカッとして何か言い返しかけたが、何を思ったかグッと口を引き結んで怒りを堪えた。

「兎に角、収穫はねえ。言われた通り草まで出張るにゃ出張ったんだ。金はよこせよ、うん?」

「結果も出せないヤツに金が出るか。依頼を受けたのは俺だぞ?その俺の報酬から身銭を切ってお前たちに金を出そうと言うのに、遊び半分のお使いじゃ話にならん。俺がそんなに簡単に金を出すとでも思ったのか?有り得ん」

にべもなく言い切る角都にデイダラは剣呑な目を向けた。

「だったらハナからテメエで出張りゃいいだろ?出納係が黒幕面しやがって、ちゃんちゃら可笑しんだよ、うん?」

「お前は馬鹿か。出納係より偉い役職はない。知らないのか?信じられん馬鹿だな」

「・・・信じられん馬鹿はここまで長生きしてンな事抜かしてるテメエだぞ?うん?島耕作読んで勉強しろ。兎に角、出納係なら決まった金はちゃんと出せよ?あ?」
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