第4章 成り損ないの蛇とカキガラ
小腹の空いた水月は、厨に向かってブラブラと歩いていた。
角を曲がったら、出会い頭にあの無愛想な女にぶつかりそうになった。
「うわ・・・」
驚いて反射的にバシャンと水化したら、女も大袈裟な程身を退いて、反射的に消えた。
あ?消えた?
「・・・おいおい・・・」
水面と化した肌を吹き付けた生温かい風の感覚に首を傾げながら人型に戻った水月は、目を瞬いてキョロキョロした。
「うぅわ、マジ?また消えたよ。怪奇現象かっつの」
煙草の残り香にスンと鼻を鳴らして、水月は呆れ笑いした。
「変なヤツ。何なの、あの女」