第4章 成り損ないの蛇とカキガラ
「触ればどうなるって言うんだ?ちゃんと言えよ。気を付けようがないだろ」
香燐が眉をひそめて腕組みした。
「ああ、君には後でちょっと用がある。牡蠣殻とキミとで試して貰いたい事があるんだよ」
含み笑いしたカブトが香燐に頷いて見せる。香燐はウ、と、怯んだ顔をしてサスケの陰に隠れた。それを見て水月が嬉しそうに笑う。
「実はヘタレだよね、キミ」
「・・・・!うるさいぞ!」
「うん、そうだ。水月、君にも手伝って貰おうかな。二人とも四ヶ月ほど不自由するかも知れないけど、そこは仕方がない。大人しくしていれば何て事はないからね。安心していいよ」
「・・・ちょっと何言ってんの、カブト。何て事大有りっぽいよね?てか何て事しかないんだろ?そうなんだろ?僕は嫌だよ。重吾かサスケに頼めば?・・・止めろ、こっち見るな。そこらじゅうビッショビショにするぞ?僕でずぶ濡れになりたいのか?ちょ、見んなってば!蒸発するぞ!?気化にチャレンジするぞ!?いいのか?ん?何だ?興味深そうだな!?チクショウ、僕、余計な事言っちゃった!?実験の種を撒いちゃった!?」
一人で騒いで頭を抱えた水月を呆れ顔で見ていたサスケが、カブトに顔を向けた。
「俺がやる」
「駄目だよ。君に何かあったら僕が大蛇丸様に殺されかねない」
「・・・何だよソレ。僕には何があってもいいってのかよ」
「そんな事ハッキリ言ってないだろ?」
「ハッキリ言ってないだけだよね?でもハッキリしちゃってるよね?」
「・・・大蛇丸は関係ない」
ウンザリしたように水月を眺めてサスケが続ける。何かを後悔し始めている顔である。
「ここにいる限り大蛇丸様と関係ないってことはないだろ?」
カブトが肩をすくめた。
「どっちにしろ話は大蛇丸様が戻られてからだ。君たちもそれぞれ元の場所に戻って貰う事になると思うから、今のうち仲良くしてたらいいさ。今度いつ会えるかわからないしね」
「アイツどこ行ってんのさ?」
頭を抱えていた水月が顔を上げて訪ねた。同様の疑問を持った全員の目がカブトに集まる。
カブトはドア枠から手を離して苦笑いした。
「そんなに大蛇丸様と会って話がしたいのかい?あの人アレで話好きだからね?変に乗せちゃうと長くなるよ?加減てモノを知らないおばちゃんの問わず語りが聞きたいなんて、君たちも変わってるね」