第4章 成り損ないの蛇とカキガラ
「・・・・何だかよくわからないが」
サスケの空手を眺めて重吾がポツンと言った。
「意味なくここに連れて来られたわけじゃなさそうだな」
「今の、あの女がやったって事か?」
聞き糺す香燐に重吾が困った顔をする。
「そんなの俺にハッキリわかる訳ないだろう?ただ、そう考えるのが自然だってだけで・・・」
「アハハ」
言い淀む重吾の傍らで、水月が膝を叩いて笑い出した。
「すっげー。Xファイルじゃない?スカリーとモルダーが来るぜ?ヤッハー、ヤバくない?何、アイツ、宇宙人なの?アハハハ」
「黙れよ。お前ホント喋れば喋るほどバカだよな」
香燐に突っ込まれて水月が目を三角にした。
「うるさいな。どんだけ賢い気でいるんだか知らないけど、キミなんかただの変態ストーカーじゃん。あーあ、全く何なんだか。こんなんじゃどのみち蛇なんて結成してもうまくいきゃしないと思うよ?メンバー悪すぎ。気が合わなすぎだって。この面子で何か出来る気が一個もしないもんな」
「その通り。ウチとサスケだけでいいんだよ。お前らが余計だ」
憎まれ口を叩いてヘッと顎を上げた香燐にサスケが怖い一瞥をくれる。
「うるさい」
「ご、ごめん、サスケ」
若干怯みつつも目を輝かせてサスケを見返す香燐に水月が呆れ顔をした。
「せっせとアジトを回って、僕らに渡りをつけて、頑張って結成したのにな。蛇。大蛇丸が生きてたなんて残念だね、サスケ。折角だから殺しちゃう?で、改めて蛇再結成しちゃうかい?いいよ、別に僕は。キミたちが僕の邪魔さえしなきゃなんだっていいんだ。まあ、ただ言わせて貰えばネーミングセンスだけは何とかして欲しいところかな。何で蛇なの?ダサい」
「・・・・・・・・・」
サスケが答えて口を開きかけたところで、ラッと部屋の引き戸が開けられた。
「・・・はれ?」
先刻の女が普通に入って来た。キチンと引き戸を閉めて窓辺の卓まで大股で歩み寄り、読みかけの本と煙草を取り上げてきびすを返す。
「・・・ちょっと?」
水月に声をかけられて一時足を止めるも、二の句がなかなか接げない様子の水月にアッサリ背を向けて引き戸に手をかける。
「待てお前」
サスケがキツく呼び止めるのに、面倒そうな顔を振り向けた。
サスケはその顔をヌメつけて再度訊ねた。
「名前は」