第19章 この際牡蠣殻は関係ないらしい。
「つまり」
「つまり?」
「お節介をやきに来たわけですか。全く余計なお世話ですよ。あなたがこの人の面倒をみる必要はありません。ご苦労様でしたね。もう帰っていいですよ」
「・・・ヤなオッサンだな。そう言われてハイ帰ります言う訳ないじゃん?バカにすんなじゃん」
「じゃんじゃん煩い人ですねえ。何なんですか、そのじゃんじゃんは?慣用句ですか?感嘆詞ですか?それともまさかの固有名詞?ハ、検討もつきませんね。まるで母語の違う相手と話しているようで苛々しますよ」
「・・・・・・何か俺、やっぱアンタ嫌い」
「だから安心して下さい。私も全く同感ですから」
「俺は牡蠣殻はアンタとも磯の浮輪ともいない方がいいと思う。こいつは誰かに振り回されんじゃなく自分で自分の事を考えなきゃ駄目だ。だから俺が連れてく。うちの隠居がこいつを待ってンだ」
「おやおや、年寄りを餌に釣る気ですか。情けない人ですねえ・・・」
「・・・餌?あの二人が?・・・餌になる程食うとこあるっけか?」
「・・・言っておいて何ですが微妙ですね。少なくとも何か釣れる程美味しそうには見えない」
「テキトーじゃん。意外にバカっぽいな、アンタ」
「ほう?喧嘩なら買いますよ?そもそもあなたとは一度やりあいたいと思っていましたからね」
「はい?」
「面倒だからサッサとすませましょう。さあ、自慢のシルバニアファミリーを出しなさい」
「・・・・さあってアンタ、シルバニアファミリーなんか持ってねえよ、俺は」
「おや、失礼。では大好きなバービー人形を・・・・」
「バ、バカなの!!??出さねえし!!!出せねえし!!!持ってねえからそんなの!!!!ちょ、アンタ、傀儡を何だと思ってんの!?暁に凄ェのいるだろ!?仲間だろ!?そこらへんどう思ってる訳!?」
「ああ、サソリの事ですか?彼をどう思うかって?ひとつ事を思い詰めすぎると人間ここまで曲がるものかと興味深く思っていますが?痛々しいくらいですよ、本当に。だからと言ってもまるっきりどうでもいいんですけどね、ええ。てんでどうでもいい事です。何しろ私には何の関係もありませんから」
「・・・ああ、そう・・・あの・・・あの、暁って、アレ?皆そういう感じな訳?何かやりづらそうじゃん。キツくない?」
「別に。まあヌルイ帰宅部のあなたにはわからないでしょうね」