第14章 引き際の線引き
「・・・・・・何やってンだ、オメエらは」
眉をひそめた鬼鮫と不思議そうな顔をした牡蠣殻が見合っているところで、デイダラと飛段が室に入って来た。
さぞ気まずいか居づらいかと思っていたものが予想に反してわかり辛い状態だったので、二人とも鬼鮫ら同様眉をひそめ、不思議そうな顔をする。
「何で鮫肌抜いて牡蠣殻追い詰めてんだよ、鬼鮫。喧嘩の腹いせにちょっとぶっ殺しとこうとか思ったのか?そら流石にちっと大人げねえぞ。我慢しなさい、うん?」
「喧嘩じゃありません。ここを出るよう説得していただけですよ。あなたたちこそなんですか。呼びもしないのに戻ってきて・・・いや、丁度いい。ちょっとこっちに来なさい。ついでに削ってあげますよ」
「オメエに削られてる暇ァねんだよ、バカ。ちょっと抱き締めていい?」
「・・・何言ってんですか、このゾンビパンダは・・・。気持ち悪いですねえ・・・」
「ああ!!良かった!!!そういうの聞きたかった!!!そう、こんな感じいィ!!男同士って感じィ!!鬼鮫ェ、マジ抱き締めていいィ!?」
「厭ですよ」
「・・・・プッ。いや、折角求めて下さってるんですから、抱き締めて頂いたらいかがです?ダハハ、面白い」
「また他人事と思って適当な事を・・・何の罰でこんなガラクタゾンビを抱き締めなきゃならないんです?おぞまわしい」
「気にすんな。独りで勘違いして暴走してるだけだからよ、うん。気になるか?気になるならガラクタ飛段はオイラがぶっ殺してやっから、早ェとこ牡蠣殻担ぎ上げろ。すぐに草ァでるぞ、うん」
「言われなくてもそのつもりでしたが、随分タイミングがいいですね。どうしました?」
眉を上げた鬼鮫にデイダラは腕組みで牡蠣殻を見ながら答えた。
「為蛍と二番目の嫁に毒が盛られたってよ」
「毒…?!
牡蠣殻の目が見開き、次いで眇まる。
「症状は?どういう状態です?」
「牡蠣殻さん。止めなさい」
説明しようと身を乗り出したデイダラと口を引き結んだ牡蠣殻を見比べて、鬼鮫は鮫肌を収めた。
牡蠣殻の頬を手の甲で叩いて言い聞かせる。
「わかりますか?面倒に巻き込まれて身動きならなくなる前にここを出なければなりません」
「待って下さい」
「待つ必要などありません」