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連れ立って歩く 其の三 鮫と虚貝編 ー干柿鬼鮫ー

第13章 鬼鮫と磯辺


「杏可也さんですよ。砂で電柱みたようなビンゴブッカーと逃げた、深水さんの連れ合いだったあの女です」

キョトンとしている飛段を尻目に、鬼鮫は敢えて丁寧に説明してデイダラをじっと見る。デイダラは何か言いたげな様子を見せたが、ぐっと口をへの字に曲げて懐に手を潜らせた。

「だからなンだよ?関係ねえだろ、今そんな事」

「さあ。まあ確かに私には関係ありませんがね。あなたにはどうでしょうかねえ?」

「・・・・何が言いてえんだ?うん?」

「別に何も。ただ歯医者に行っていた訳ではないという事ですよ」

「何の話だよ?歯が痛ェのか?正露丸呑め?」

「・・・・飛段、テメエはとことん黙ってろ、うん?」

「もめるならよそに行って下さいませんかねえ?大体何だってここにいるんですか、あなたたちは。用はすませたのだから帰ったらどうなんです」

「わざわざテメエを待っててやったんじゃねえかよ。ホンット親切のしがいのねえヤツだよな、オメエは」

「そりゃすいませんねえ。ご親切にどうも。これ以上煩わせては申し訳ありませんからね、さっさと出てって下さい」

「出てけって言われると出てきたくなくなんだよなあ。何でだ?」

「言われた事の意味を理解出来てないんですよ。脳が正常に機能するのを拒否してるんでしょう」

「何ソレ?俺の頭が普通に動いてないっての?」

「動いてるんですか?見た事ありませんけどね」

「見た事ねえ訳ねえだろ?俺ン頭なんかいっつもフル回転だかんな?マジ見えねえの?あり得ねえ」

「止せ飛段。鬼鮫の事だ、あなたの脳ミソは剥き出しにでもなってるんですかだの、見える訳ないじゃないですか下らないだの言い出すぞ、うん。乗せられるとバカみるぞ」

「言いませんよ」

「ハ、じゃ何て言う気だったんだよ、うん?」

「どのみち動いちゃいないんですから、見たって意味ないでしょう」

「・・・ひっでェな、オメエ・・・予想を上回るひどさだぞ、うん」

「そうですか?すいませんねえ。さあ、出てって下さい」

「二人になって何しようってんだ?あ?このスケベ」

「馬鹿みたいな顔で笑ってるとそれでなくとも隠しきれていない馬鹿が元も子もなく剥き出しになりますよ?流石にいたたまれないので止めて欲しいですねえ」

「絶好調だな、鬼鮫。ノッコミシーズンの鮫並みじゃねえか、うん?」

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