第1章 出逢い
「入るぞ」
返信がない。まだ目ぇ覚ましてねぇんだな。
俺は静かに障子戸を開け、あいつの顔が見える位置に座った。
「平助君」
障子戸越しに千鶴の声がする。
「入ってもいいかな?」
「ん、ああ!」
千鶴は静かに障子戸を開け、中に入りそっと閉めた。
「......なぁ千鶴。お前はどう思う?」
千鶴が小首を傾げて俺の方を見る。
「こいつのこと......」
敵じゃねぇって言ってくれ...。殺さなくてもいいんだって......。
......お前の前で汚ぇことしたくねぇ!
「きっと...敵じゃないよ。...普通の方だよ...ね!」
笑顔でそう言ってくれるお前はすげー綺麗だ。
俺みたいに......汚れてねぇ...。
「...っ.........そっ、そうだよなぁ!」
お前の綺麗な笑顔に、作り笑顔で返す俺は、きっと...笑顔でい続けさせることなんて出来ない。
............土方さんなら......。
「くっ...」
「大丈夫だよ、平助君。......皆の敵じゃない!...そう信じよう?」
千鶴は此処が......新選組がどんなとこか知ってる。
......俺達は容赦なく敵を斬り捨てる。......人斬り、集団...だ。
「土方さんは...優しい人だよ、大丈夫!もし敵だとしても殺したりなんかしないよっ!!」
その土方さんは、拷問して殺すって言ってんだよ...。
どうしてそんな...お前は...土方さんを.........。
......くそっ!!