第1章 出逢い
「総司っ!!!あいつ何も知らねぇんだ、何も殺さなくてもいいだろ!!」
あいつは何も知らねぇ、殺される理由なんてないんだ。
「殺す殺さねぇの前に、まずはあいつの話を聞かなきゃなんねぇ!もし長州の間者とかだどしたら、拷問し殺す。それでいいな、お前ら!」
「おう!」
「はーい」
「へいへい」
あいつはきっとそんなんじゃねぇ。
「いいな平助。お前がつれてきたんだ、ちゃんと面倒見ろよ。」
「あ、...うん」
俺があの時ちゃんと守っていれば、あいつは怪我することも、生死を問われることもなかった.........。全部...俺のせいだ。
......あいつは女なのに...。
「副長。」
「土方さん!」
しばらくして、山崎君と千鶴が来た。
千鶴なんか嬉しそうだな。久しぶりに女がいるから、浮かれてんのかな?
千鶴の笑顔はいつ見ても可愛い。一生懸命で健気で。
俺は千鶴が好きだ。
だから、こいつの前で、人を殺したりとかなんてしたくない。......千鶴は優しいから。
でも千鶴が好きなのは、土方さんだって知ってる.........。
「あのガキは?」
「左腕が使えるようになるまで、暫くはかかりますが、命に別状はありません。ただ傷が深く、数日安静にしてもらわなくてはなりません。もう、直に目を覚ますと思われます。」
よかった。ふぅと安堵の息をもらす。
「わかった。」
土方さんは山崎君にそう返すと、俺の方を見て言った。
「平助、見張ってろ。目を覚ましたらすぐに教えるんだ。わかったな?」
「わかったよ、土方さん」
俺はあいつの部屋に向かった。