第4章 残る温かさ
「お春の件か?」
「えっ?」
一君が発した言葉は的を得ていて、もう一君には何でもお見通しなんだなって思った。
「あいつは今でもお前を信じているぞ、きっと。...傷付けられたとは思っていないと言っていた。自分が雪村ではないのが悔しい、とも言っていた。」
やっとわかった...。
今更わかった...。
あいつが苦しんでいた理由...
あいつの悲しそうな笑顔があったかかった理由...。
あいつも...お春も......俺のことを想ってくれていた...。
...ん?...てことは、総司も左之さんも皆、知ってたのかよ...。
なんか意味わかんねぇこと言ってんなって思ってたけど......そういうことだったのか。
「ははは...」
「平助?」
あぁ、本当笑えてくるわ......。
「はははっ!はははははっあはははははははっ!!」
自分が情けなすぎて......。
本当、今更気付くとか...有り得ねぇ...もう遅すぎるっつうんだよっ!!
あぁ、本当笑えるわ...。泣けてくるわ...。なっさけねぇ...。
畜生畜生畜生畜生畜生っ!!!!
「うっ...くっ.........うわぁぁぁぁぁ!!!!!」
「っ!?平助、大丈夫か!?」
俺が一君にもたれかかると、一君は優しく抱き締めてくれた。背中を優しく撫でてくれた。
「うっ...ひっ...あっうぅぅ.........一君、俺...俺...!.........もう自分が嫌だ...ひっく...あぁっ...」
恥ずかしげもなく俺は、声をあげて泣いた。
「............平助」
一君は何度も俺の名前を呼びながら、背中を撫でてくれていた。
その間ずっと俺は、一君にしがみ付いて、ずっと...ずっと、泣いていた。