第4章 残る温かさ
伊東さんについて来て、もう4ヶ月は経った。
この4ヶ月間、1日たりともお春のあの顔を思い出さない日はなかった。
俺は好きな奴を傷付けた。
悲しそうに笑ったあの笑顔は、何故か、とてもあったかかった...。
俺の嫌な感情も何もかも、包み込んでくれるような、温かい光のような...。
.........もう一度あの光に包まれたい...なんて、俺のどこまでも馬鹿な考え。
あんなことしといて、お春にしがみ付くことなんて、出来る筈ないのに...。
もっと早くに自分の気持ちに気付いていれば...あんなことはしなかっただろうか...?
いや...してたよな。俺、どこまでもガキだもん。
「あぁーっ!!くっそ!!」
後悔したって、もう遅ぇのに...。
「平助?」
「っ!...一君...?」
障子戸の向こうから、一君に声をかけられて、鳥肌が立ちそうな程、びっくりした。
いつからいたんだよ...全然気付かなかった。
「どうかしたのか?...通りかかったら、急に大声が聞こえて...」
「一君、ごめん!驚かしちまったか?」
障子戸を開けて、一君に謝った。
「いや、大丈夫だが...。どうかしたのか?」
「あ、えーと...その...」
一君にどうかしたのかと聞かれて、目を泳がせ、明ら様に動揺する。
「俺で解決出来るかわからんが、話してみろ。...それだけで、気も楽になるだろう?」
「あ、ありがとう。入ってくれよ!」
流石に廊下で話せる内容じゃないから、一君を部屋に入れる。
2人とも座って......って、入れたのはいいけど、話しにくいなぁ...。