第3章 反対のこと
「平助」
「っ!...総司っ!!」
ふいに声をかけられて、びっくりしちまった。
総司はにっこりと笑い、意味のわからないことを言い始める。
「お春ちゃん、寂しそうにしてたよ。...平助に逢いたいって。平助の笑顔見たいって。」
「......は?...何、言って.........」
きっと普通の人ならわかるんだろう。
俺にはさっぱり意味がわからない。
あんなことをした俺に会いたいって...?
俺の笑顔が見たいって...?
「総司...からかうなよ......」
「別に?からかってなんかないよ。...やっぱり平助ってまだ、子供だよね。お春ちゃん可哀想。ばいばーい。」
「は!?ちょっ、総司!!......意味わかんねぇよ...」
また総司は意味がわからないことを言って、去って行った。
...会いたいっつったって、どんな顔して会えばいいんだよ...。
いや、その前に俺、お春に会うこと許されてねぇつっのっ!
お春っ!?
今、一瞬お春の姿が見えた。
その顔に笑顔はなかった。
お春、ごめんな...。
もしお前が本当に会いたいと思ってんなら、俺らまた会えるよ。
だから、そう信じててくれよ、お春。
お前にまた会えたら、俺、そん時は何回だって言うから。
......ごめんとありがとうを...。
本当俺、あん時からおかしいわ。
千鶴の笑顔じゃなくて、お春...お前の笑顔ばっかり探してる。
今は、お前の悲しそうな笑顔と恐怖で怯え泣いてる顔しか、思い出せない......。
また俺が、お前を笑顔に出来る日がくるかな...?