第3章 反対のこと
千鶴、お春守れなくてごめんな...。
お春、ごめん、何回言っても足りない。
俺は今日、新選組を離れる。
俺は今日から、新選組隊士ではなく、御陵衛士の隊士になる。
「平助君!」
「千鶴!?」
千鶴のその笑顔は、今は辛い。
総司とお春は、あの夜のことを、千鶴にだけは教えなかった。
お春が千鶴には教えないでくれと、皆に頼み込んだらしい。
なぁ、お春...お前はなんなんだよ。
千鶴といると辛そうな顔するし、千鶴だと思って抱こうとしてるっつったら、悲しそうに笑うし、
それになんであのこと、俺が好きな千鶴にだけ言わねぇんだよ...糞野郎...意味、わかんねぇよ......。
「...くん、平助君!聞いてる?」
「あ?ああ!」
ごめん、千鶴。聞いてなかったわ...。
「まっ、また会えるといいね!」
あ、悲しそうな笑顔......。今、1番見たくねぇ顔なんだよなぁ...。
「あぁ...」
また会えるはずもないと千鶴はわかってる。それでも信じていたいんだな...。
俺もだよ...千鶴。
悲しそうに去って行くあいつの背中は、いつもよりもずっとずっと小さく感じた。