第57章 Epilogue-それは世界で一番の-
「霙は頭の良い子でとても甘えん坊なの。甘いものが好きで近所にあるケーキ屋によく行ってたわ。選ぶのはいつもショートケーキ。もうお得意様なのよ。そしてあの子は…医療の道に興味があって将来は薬剤師になるのが夢だったの」
「薬の調合とかに詳しかったんだ」
「そうなんですね」
梨央は鞄からウサギの人形を出す。
「今日はコレをお返しに来ました」
「!」
「リキュール…?」
「彼女から預かったものです」
「良かったわ…あの子が亡くなってから行方不明になってたの。無くしたと思ったら貴女が預かっててくれてたのね」
リキュールを妻に渡す。
「おかえりなさい リキュール」
頬にリキュールを寄せて涙を流して微笑む。
「では私はこれで失礼します」
「あ、待ってちょうだい」
立ち去ろうとすれば妻に呼び止められる。
「ありがとう。貴女のような方があの子の友達で本当に良かった」
その言葉に梨央は目を見開いた。
「またいらしてね」
「はい」
笑みを浮かべて会釈をし、その場を立ち去った。
妻に抱えられたリキュールが、笑った気がした。
◇◆◇
たくさん遊んでもらった住職に別れを告げて夢愛と共にクロサキ医院に到着した。
「ここって…病院?」
「そうだよ」
インターホンを押す。
「会うのは久しぶりだな…」
すると中から一護が出て来た。
「おう」
「やあ」
「ルキア達もう来てんぞ」
「そうなんだ。相変わらずガラガラだね」
「病院がガラガラなのはいいことだろうが」
「みんなもう来てる?」
「お前で最後だよ」
ガチャッ
「あ!仁科さんだ!いらっしゃい仁科さーん!!」
「あんたン家みたいに言うんじゃないの!」
ケイゴの横顔にたつきの強烈なパンチが飛ぶ。
「久しぶり仁科さん。
髪切ったんだね、似合ってるよ」
「ケイゴくんたつきちゃん小島くん!
みんな久しぶり!」
「元気そうだね梨央!」
「たつきちゃんも元気そう!」
「どいてどいておにいちゃん!」
「ポップコーンとコーラが通るよー!!」
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