第57章 Epilogue-それは世界で一番の-
「…墓参り?」
「黒崎真咲さんの。
前に彼から場所を聞いたので」
「そうか…」
「それに…」
梨央はチラリと窓際に置かれている兎の人形を見る。
「リキュールを返さないといけないですから。
本来いるべき場所に。冬獅郎さんも来ます?」
「いや…。俺が行っても気ィ遣わせちまうだろうから待ってる。それに仕事もあるしな」
「じゃあ夢愛と二人で行って来ます」
梨央は炭酸水を飲み干した。
「…そろそろ寝るか」
「そうですね。夢愛が起きたら大変ですし」
空になったボトルをゴミ箱に捨てる。
「冬獅郎さん」
「どうした?」
「私、今すごく幸せです」
「!」
微笑みを浮かべる梨央を見て日番谷も…
「俺もだよ」
幸せそうな表情を浮かべた。
◇◆◇
数日後───……
「真咲さんのお墓参りも終わったし…」
盆の時期だけ通行許可が下りた夢愛を連れて現世に来ていた梨央は一護の母である真咲の墓参りを終えてお寺の住職とすっかり仲良くなった夢愛の迎えに向かう。
「夢愛」
「!」
住職とお手玉で遊んでいた夢愛は梨央に駆け寄る。
「すみません。遊んでもらっちゃって…」
「全然いいんですよ」
仏様のような笑みを浮かべる住職に頭を下げた。
「夢愛、この後もう一つお墓参りしたいんだ」
「じゃあ待ってる!」
「ここで待つと住職様に迷惑がかかるから一緒に…」
「私は構いませんよ。
気にせず行って来て下さい」
「でも…」
「こういう場所には子供は来ませんので私としても嬉しいんですよ。次は何して遊ぼうかねぇ?」
まぁ…夢愛も嬉しそうだしいっか
「じゃあよろしくお願いします」
手を振る夢愛を住職に任せて梨央は"もう一つのお墓参り"に向かった。
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