第55章 Blessing-これからの未来-
「!」
隣に目をやると、日番谷が小さく笑んでいる。
その笑みの意味に気付いてショウマの目線になるように屈んだ梨央はニコリと笑う。
「うん、いつでも遊びにおいで。
甘いお菓子を用意して待ってるよ」
「やった───!!!」
両手を挙げて飛び跳ねるショウマとうるい。
「おねえさんの名前は?」
「仁科梨央だよ」
「そっか!綺麗な青い目の色だね!」
「自慢なんだ」
好きな人が褒めてくれたから
日番谷を見た後、ショウマとうるいに視線を戻す。
「零番隊には何があるの?」
「色んな部屋があるよ」
「あったかい暖炉もある!?」
「うん。薪をくべて燃やすんだ。
冬はすごく暖かいよ」
「そうなんだー!」
「暖炉がある部屋は談話室って言ってね、本棚がたくさんあってふかふかの長椅子もあるの。テーブルも置いてあるしお菓子も色々揃えてあるよ。お腹が空けば調理室もあるからご飯も簡単に作れちゃうんだ」
「すごーい!」
「じゃあじゃあ!
お腹空いたら食べに行ってもいい!?」
「いいよ」
「わーい!」
「暖炉で暖まりに行ってもいい!?」
「もちろん」
「やったー!」
二人は両手を繋いで嬉しそうに飛び跳ねる。
すると射場がやって来た。
「ほらもう行かんか!
敷地を見て回るんじゃろう?」
「そうだった!テツさん、尻尾穴ありがとう!」
「テツさんまた明日ねー!
日番谷隊長、仁科隊長、さよーなら!」
射場に追い立てられ、二人は先を競い合うようにして去って行った。
「可愛らしい兄弟ですね…」
「霊術院じゃ人気者らしいわ。
撫でてぇ撫でてぇ、ゆうて」
「その気持ち、痛い程わかります…!」
「すげぇ顔が緩んでたもんな」
「そ、そんなに緩んでませんよ!」
「緩みっぱなしだった」
「…だってあのフサフサした尻尾とか、可愛いんですもん」
もごもごと声が小さくなる。
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