第55章 Blessing-これからの未来-
「相変わらず仲がええですね」
「っ…………」
指摘された梨央は恥ずかしそうに頬を染めた。
「そんで二人は何しに来たんです?
見たところ非番のようですが…」
二人は目で合図し合い、顎に手をやりこちらを見ている射場に報告をした。
「今度俺たち結婚することになったんだ」
「今日はそのご挨拶に伺いました」
「ほうか!隊長同士が結婚とは、こりゃぁめでたいの!!」
射場は大きな手を鳴らし、はにかむ二人に拍手を贈った。が、はたと何かに思い至り、手を止める。
結婚、婚姻届、人別録管理局、待ち時間───射場の中で、全てが一つに繋がった。
「もしかして…人別局の長い待ち時間中ですかい!?」
「そうなんです。結構な待ち時間で…」
「ついでみたいに来て悪いな」
「かまいません!なんやかんやと忙しいじゃろうに、顔ぉ出してくれてありがとうございます!」
射場は梨央の肩をポンと叩いた。
「良かったのぉ、仁科!!」
射場がニィと笑いかける。
梨央は嬉しそうに笑った。
「報告書の赤入れがまだ途中ですけぇ、儂ぁ仕事に戻ります。お幸せに!」
射場は小脇に抱えた書類入れにチラッと目をやり、二人に軽く手を挙げて隊舎に戻って行った。
「隊長」
「どうした?」
「既にもう泣きそうです…」
祝ってもらえる喜びに梨央の目は潤んでいた。
「泣き虫」
「うぅぅ…」
「行くぞ」
「はい…」
背中に手を添えて泣きそうな表情の梨央を連れ、人別録管理局に戻って行った。
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