第55章 Blessing-これからの未来-
「良かったね梨央ちゃん…っ」
雛森は小さくパチパチと拍手をして涙ぐんでいる。
「日番谷隊長ならきっとお前を幸せにしてくれる」
ルキアは嬉しそうに微笑む。
「本当におめでとう!梨央!」
「ありがとうございます」
三人から祝福された梨央の目にも涙が浮かんでいる。
「いいわねぇ。あたしの小指も誰かと繋がってないかしら〜?」
「きっと繋がってますよ。乱菊さんの運命の赤い糸」
「前にも言ってたね。運命の赤い糸」
「迷信なんかじゃなかったでしょ?二人は出逢うべくして出逢ったんだから」
「わあ!なんだかロマンチックですね!」
「朽木の小指の赤い糸は恋次と繋がっていて、梨央の赤い糸は隊長と繋がってたのよ」
「本当に…ありがとうございます」
「引き止めて悪かったわね。
行くところがあるんでしょ?」
「はい」
「今度詳しく聞かせてちょうだい」
三人は手を振って歩いて行ってしまった。
その後ろ姿を見送り、梨央も三人とは別方向に歩き出した。
◇◆◇
【第零監獄】
「お待ちしておりました」
罪禍に到着すると黒装束を身に纏った男が頭を下げる。
「面会は可能か?」
「もちろんです。あ、ですが…」
「どうした?」
「面会者がお見えになってます」
「誰だ?」
「それが…村で村長をしている者らしく…」
「!」
「そろそろ面会時間が終わる頃ですね。すぐに呼んで参りますので少しお待ちを…」
「いや、私が行く」
男を手で制して、面会室へと向かう。
薄暗い通路を抜け、一番奥の扉の前で立ち止まる。立て札には【面会中】のプレートが掲げられていた。
ガチャッ
ノックも無しに扉を開けるとガラス壁を挟んだ両側に少年と老人が座っている。
「!お主は…」
振り返った老人は驚いて椅子から立ち上がり、じっと梨央を凝視した。彼女は扉を閉め、ゆっくりと歩を進めて老人の前で立ち止まると軽く頭を下げる。
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