第55章 Blessing-これからの未来-
えぐえぐと泣き続ける梨央に愛しさが込み上げた日番谷は腕を軽く引き寄せて抱きしめる。
「嬉し涙ならどんどん泣け」
「こんな…私で…いいんですか…?」
「お前だからいいんだよ」
「私は罪人なんですよ…?」
「関係ないって前も言っただろ。例えお前が罪を犯そうが、俺はお前自身を愛したんだ」
「!」
「二人で幸せになりてぇから一緒にいることを選んだ。未来を共に歩みたいと思ったからお前の傍にいることを選んだ。お前だけを愛してるから…俺はお前を一生大事にするって誓ったんだ」
その言葉が嬉しかった
幸せを望めなかった私が
唯一、幸せを求めた相手。
どうせ消えてしまうのなら
愛なんて必要ないと思っていた
けれど…愛を知ってしまった
この人と出逢ってしまったから
「(もう…いいんだよね?)」
愛する人との
幸せを望んでも────……
「私も…あなただけを愛してます」
二人はお互いに微笑むと…ゆっくりと顔を近づけ、口付けを交わした───。
◇◆◇
翌日、ある場所に向かう途中で見慣れた三人を遠目で見つめる。三人は楽しげに喋りながら笑っていた。
梨央は静かに歩み寄り、声をかける。
「こんにちは」
「梨央ちゃん!」
雛森、ルキア、乱菊は梨央に気づくと笑みを浮かべた。
「ねぇ、これから三人で朝食食べに行こうって話してたんだけど、あんたも一緒にどう?」
「お誘いは嬉しいのですが今日は忙しくて…」
「そうなの…残念だわ。ま、今度行きましょ」
「はい。あ、それと…ご報告があるんです」
「どうしたのだ?」
「えーと…実はですね…」
恥ずかしげに頬を染める梨央に三人は首を傾げる。
「この度、日番谷隊長と婚姻することになりました」
「「「………………」」」
一瞬の、沈黙。
ぽかんと口を開ける三人に梨央は不安そうな表情をする。
「あ、あの…」
ギュッ
「!」
乱菊が梨央に抱き着く。
「乱菊さん…?」
「おめでとう…っ!」
涙を流す乱菊はまるで自分のことのように喜んだ。
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