第55章 Blessing-これからの未来-
悲しげに笑う梨央に日番谷は言う。
「なら…その寂しさを無くしてやる」
「え?」
「ずっと隣にいてやるって言ってんだよ」
「隊長…あの…それはどういう意味で…?」
「お前、今幸せか?」
「え?それはもちろん。隊長がいてくれるだけで私は幸せです」
「俺もお前がいてくれるだけで幸せだ」
優しげに笑んだ日番谷が、梨央の手を取り、自分の手と重ねる。まだ意味が理解できていない梨央は首を傾げていた。
「スゥー…ハァー…」
何かを決心した日番谷の顔は珍しく緊張している。手を握ったまま深呼吸をし、緊張を解す。
「(隊長の手、震えてる…。)」
目を瞑っている日番谷を心配するも、彼から話してくれるまでじっと待つことにした。
「(なんだろ…こっちまで緊張してくる。)」
そして目を開けた日番谷が真剣な顔で梨央の名前を呼ぶ。翡翠の瞳と青の瞳が重なり合う。
「梨央」
「は、はい…」
「結婚しよう」
日番谷からの突然のプロポーズに驚きを隠せず、目を見張ったまま固まる。
「今、なんて…?」
震える声で日番谷に聞き返す。
「俺と結婚してくれ」
真っ直ぐな視線が梨央を捕らえて離さない。
「絶対にお前を幸せにする」
「っ………」
「今度こそ二人で幸せになろう」
涙を溜めた梨央が、くしゃりと表情を崩す。泣くのを堪え、必死に日番谷を見ている。
「梨央」
「は、い……っ」
「返事、聞かせてくれ」
コツン、と額を合わせて日番谷は微笑む。そして梨央は我慢していた涙が一気に溢れ出した。
「こちらこそ…よろしく…お願いします…っ!」
「ああ、よろしく」
「ひっく…ううぅ…」
「やっぱ泣いたな」
「だって…まさかこのタイミングでプロポーズされるなんて…思わないじゃないですか…っ」
「不意打ちってやつだ」
「前に不意打ちは禁止って言ったのに…」
「そういやそうだったな」
「びっくりしたのと嬉しいので涙が全然止まらないじゃないですかぁ〜」
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