第55章 Blessing-これからの未来-
「でもプロポーズはされたんやろ?」
「リサちゃん!!」
「えー!聞きたい!」
「詳しくお願いします」
「伊勢副隊長まで…!」
「いつプロポーズされたの?」
「ま、待って…ほんとむり…っ」
「あんな一途に愛してくれる男は他におらんで。大切にしいや。あんたが選んだ相手なんやから」
「……………うん。」
赤面しながらも小さい声で頷いた。
「なんやえらい盛り上がってんな〜」
「ひ、平子隊長!?」
「一体いつからそこに…!?」
「(最悪なタイミング…)」
雛森と七緒が椅子から落ちそうなほど驚く中、リサは一人涼しい顔を浮かべ、梨央は罰が悪そうに平子から視線を逸らした。
「婚姻の話あたりからおったな。
当然あたしは気付いとったよ」
「教えてよリサちゃん!」
「あんたも気付いとったやろ?」
「それどころじゃなかったよ!」
「というか来てすぐ声をかけてください、隊長!」
「そう怒りなや、桃。いやァ、女子の集まりにオレが入ってもええんやろか、て声かけよか迷ってたんや」
「盗み聞きしたかっただけやろ、スケベ」
冷ややかなリサの物言いに『オマエにだけは言われたないわッ!』と平子が反論した。
その時、外から終業時刻を報せる鐘の音が聞こえてきた。
「いけない、こんな時間…!私もう戻りますね」
七緒は手早く本を書架へ戻し、出入り口の前で振り向いた。
「雛森さん矢胴丸さん仁科さん、今日はありがとう。またお話しましょう!」
三人ににこりと笑いかける。
「ええ、また!」
雛森は笑顔で手を振り、リサは無言で小さく手を挙げ、梨央は軽く頭を下げた。
「それから…平子隊長、今後こっそり近づくのはやめてくださいね?」
最後にそう釘を刺し、七緒は図書館を後にした。平子は苦笑し、窓辺の壁に寄りかかる。
「私もそろそろ行こうかな。今日は付き合ってくれてありがとリサちゃん。またお話しようね桃ちゃん。平子隊長は金輪際、盗み聞き禁止です」
二人に笑顔を向け、平子には最後、冷たい視線を送る。では、と言って頭を下げ、図書館を後にした。
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