第55章 Blessing-これからの未来-
「梨央ちゃんはダメです」
「桃ちゃん…?」
「何でや」
「日番谷隊長がいるからです!」
「それが八番隊に来たらいかん理由になんの?」
「当たり前です!いいですか?せっかく梨央ちゃんの記憶が戻って日番谷隊長も嬉しそうなのに、八番隊に移籍しちゃったら…それこそ寂しいじゃないですか!」
「休憩とか会えるやん」
「もう!そういう事じゃないんです!」
「桃ちゃん、ちょっと落ち着こうか」
此処を図書館だと言うことも忘れ、雛森は興奮しながらリサに訴えかける。そして恥ずかしくなった梨央が止めようとするも、雛森の勢いは収まるどころか…盛り上がった。
「愛し合う二人を引き離すなんて残酷です!梨央ちゃんは日番谷隊長が大好きなんですよ!いつも日番谷隊長のことを思っているんです!もし梨央ちゃんが八番隊に移籍したら日番谷隊長が黙ってません!直接直談判ですからね!」
「桃ちゃん!ここ!図書館だから!」
「あっ……」
ハッと我に返った雛森は周囲を見渡す。本を読んでいた人々がジロリと此方を見ている。そして貼り紙には【図書館ではお静かに】という注意書きまで目立つ場所に貼ってあった。
「す、すみません…」
雛森は体を恐縮させ、顔を伏せた。
「ところで仁科さん」
「何でしょうか伊勢副隊長」
「挙式の予定は決まったんですか?」
「え?」
「人別録管理局へ届出を提出されたんですか?」
「ま、待ってください!な、何の話です!?」
「何って…日番谷隊長と御婚姻されたのでは?」
「は!?///」
「貴族が絡む御婚姻ですから手続きとか色々大変だと思うので…あ、和装は白無垢ですか?仁科さんは美人なので何を着ても似合いそ…」
「っ、まだ婚姻はしてません!///」
「…そうなんですか?」
「まだってことは、いつか婚姻はするんだよね」
「も、桃ちゃん…」
顔を赤くしながら慌てる梨央に雛森が笑顔で更なる追い打ちをかけた。
「(昔より雰囲気が柔らかくなっとるやん。)」
それはきっと彼女達のおかげなのだろう…と思い、リサは小さく微笑んだ。
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