第55章 Blessing-これからの未来-
「ごめっ…なさい…!なんか…時間の重みをっ…感じちゃって…二人が…もう一度再会できて…良かったな…って思ったら…あたし…っ!」
「感情移入が激しすぎてへん…?」
呆れるリサの前で、七緒と梨央が雛森を慰め続けている。
雛森が泣き止むのを待って、リサは三人の前に今年度版の全席官名簿を広げた。
「ちょっと三人に協力してほしいんやわ」
名簿には各隊毎に隊長から第二十席までの顔写真と名前が載せられている。
「あの…リサさん、これは…?」
「あたしが八番隊の隊長になってからもうすぐ半年になるんやけど、副官を指名しろってずーっと言われとるんやわ」
京楽と七緒が一番隊へ移って以来、八番隊の隊長・副隊長業務は七緒が代行していた。
半年前にようやくリサが新隊長に就任し、めでたく隊長業務は引き継がれたのだが、リサが副隊長業務の代行を頑として拒んだため、今もその分は一番隊の七緒が代行している。
「私も早く代行から解放していただけると助かります…」
「総隊長に、あんたんとこ副官二人おるんやから七緒ちょうだいって言ったら『絶対ダメ!』やと」
七緒は頬がかぁっと熱くなるのを感じ、平静を取り戻そうと一つ咳払いをした。
「阿近狙っとったのにマユリに取られてまったし、三席のこいつ…円乗寺を操り上げるのもなぁ」
「円乗寺三席、ダメなんですか?」
「だめやね」
「何で?」
不思議に思ってリサに聞いた。
「よう見てみやあ、こいつ顔が雑魚っぽいやろ?副隊長って顔してないやん」
「あは…ははは…」
あんまりな言い草に、七緒と雛森はもう笑うしかない。
「せやから…梨央!」
「!」
「あんたが副隊長やってや!」
「ええっ!?」
「私が八番隊の副隊長に?」
雛森は驚き、梨央は冷静に聞き返す。
「あんた今十番隊におるんやろ。席官って訳やないし、こっちに来てあたしの仕事手伝って」
「んー…」
「なんや、歯切れ悪いな。
もしかして…零番隊に復帰するん?」
「え?」
「そうなんですか?」
「いや…それはまだ…保留というか…」
「だったらええやん」
「うーん…」
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