• テキストサイズ

✱でもきっとハッピーエンド✱【BLEACH】

第54章 Beloved-素敵な愛の育て方-




「庇ってくれてありがとうございます。おかげで怪我をせずに済みました」



「……………」



「…怒ってますか?」



「…怒ってないと思ってんのか」



「思ってないです…」



わかってる



悪いのは私だ



「ごめんなさい」



「それは何に対して謝ってる?」



「騙していたことです…」



「……………」



「(あぁ…こういう沈黙は…苦手だ。)」



居心地の悪さに戸惑っていると、日番谷が静かに口を開く。



「退いてくれると助かる」



「え?あ!す、すみません!」



慌てて上から伸び退くと、ゆっくりと立ち上がった日番谷は背を向けて責務に戻ろうとする。



「ま、待って!」



その行動に驚いて咄嗟に手を掴んだ。



「(あれ?え?何も言わずにスルー?途中まで会話は成り立ってた。私が間違えた?どれが『正解』だった?この人の気を惹くにはどうしたら───……)」



混乱する頭で必死に考える。



「隊長…騙していたことは謝ります。なので…その…こちらを向いてください」



「仕事中だったな。お前ももう戻っていいぞ。手が空いてるなら他の隊士達の仕事でも見てやってくれ」



「っ!隊長!」



「手を離せ」



「離しません」



「隊長命令が聞けないのか」



掴んだ手を離すものかと強く握る。日番谷の声はどこまでも冷たく、彼自身も混乱しているのだろうと思った。それでも今この手を離してしまえば、この話はなかったことにされる。



「隊長命令でも聞けません」



「…頼む。離してくれ…仁科」



「!」



違う



聞きたいのは



「…どうして名前で呼んでくれないんです」



悲しくて心が痛くなった。



「お前の名前は…呼ぶのに勇気がいる。どんな偶然かは知らねえが…その名前は…俺がこの世で一番愛した女の名前なんだよ」



「!」



あぁ



この人は



三年の月日が経った今でも



私だけを愛してくれてるのか



「(…一途なヒト。)」



そして…愛おしい。



それだけで心が温かくなって、じわりと涙が浮かんだ。



「私は…梨央です」



「!」



日番谷の手がピクッと反応した。



.
/ 900ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp